表題番号:2001A-046 日付:2003/11/24
研究課題文学・教育学系学部教員に対するメディア・リテラシー教育のための基礎的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学部 専任講師 沖 清豪
研究成果概要
 本研究計画は、人文科学系学部としての文学部・教育学部、とりわけ教職課程に関係する大学教員が有するメディア・リテラシーの状況を明確化するとともに、リテラシー向上のための実践的なプログラムの開発に関する基礎的研究を行うことを目指したものである。研究の過程で、その対象は現在存亡の危機を迎えている短期大学へと拡大し、本年度は特に短期大学における教職課程の担当教員が有するメディア・リテラシーに焦点をあてることで、より具体的な成果の達成を目指すこととなった。
 本研究費を活用して、以下の2点について調査研究を行った。
 (1)メディア教育開発センターにおいて実施されている大学教育におけるメディア活用の実態調査の調査結果を参考にしつつ、関東所在の短期大学において教職課程の授業を担当する教員に対して、授業におけるメディア活用の状況、メディア・リテラシーに関する自己評価を求める郵送自記式質問紙調査を実施した。発送数は501通(全対象者から8割を無作為に抽出)、有効回収率は30.3%であった。メディア・リテラシーに関する回答傾向を見ると、年齢、あるいはメールやホームページといったインターネットの活用状況と教員個々のメディア・リテラシーに関する自己評価との間の相関が弱い点が注目される。これは、自らウェブサイトを構築している教員は自己の技能に対する評価が低くなる傾向を反映しているものと推定される。なお回答者全般を見る限り、実際の授業においてメディアが有効に活用されているとは言いがたい状況も明らかとなった。
 (2)イギリスの高等教育機関における、特にマルチメディアを活用した教育方法の改革について資料を収集し、検討した。現在イギリスではe-University構想が進められている。これは大学院における指導をすべてインターネット上で実施しようとするものであり、2002年9月から四大学で本格実施される予定である。なお本活動に関連して、大学間の国境を越えた連合(WUN. World Universities Network)が構築されている点が注目される。インターネット上での授業は既存の大学という枠組みを容易に乗り越えてしまう可能性と危険性が改めて示されている。
 なお郵送調査の結果等については、本年度中に学会で発表し、拙HPにおいても公開する予定である。