表題番号:2001A-014 日付:2005/11/17
研究課題自由貿易協定の法的検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 須網 隆夫
研究成果概要
 1990年代以降、特にWTOの創設後、世界の各地域において、自由貿易協定の締結による地域経済統合を推進する動きが活発化し、その傾向は東アジアにおいても例外ではなく、日本も日本・シンガポール経済連携協定の締結を契機に、そのような動きに参画している。このような地域経済統合については、経済的な観点から議論されることが多いが、法的な観点からも様々な問題がある。すなわち、そもそも地域経済統合を国際法を中心とした法的手段を利用して進めることにどのような意義かあるのか、また地域経済統合とWTOとの関係をどのように理解するか、より具体的には、二国間FTAを利用した地域統合の推進は、マルチの貿易自由化を目的とするWTOを推進する役割を果すのか、それを阻害する役割を果すのか等の問題である。また、自由貿易協定において規定される内容についても、様々な問題がある。
このような課題を明らかにするためには、過去に締結された自由貿易協定の内容とともに、現在締結されようとしているアジアにおける自由貿易協定の内容を合わせて検討する必要がある。これらの検討からは、単に事実上の経済関係を推進するだけではなく、それを法を利用して制度化することの重要性を窺うことができる。