表題番号:2001A-010 日付:2002/05/14
研究課題ドレフュス事件以後のサンボリストたち-『ディヴァガシオン』の外部を読む-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 助教授 岡山 茂
研究成果概要
1998年以来、私はマラルメの『ディヴァガシオン』をパリのジャーナリスティックな喧噪に繋いでみて、それをいわば外側から読むという作業を継続している。この書物が出版された当時、パリではドレフュス事件が静かに進行中であったけれども、このころのサンボリストの言動を追いかけることで、これまで私自身が行ってきたテマティックなレクチュールの限界を乗り越えたいのである。すでにアドルフ・レテ、ベルナール・ラザール、フランシス・ヴィレレ=グリファンを見た。彼らのマラルメについての発言は多様であり、それが彼らのドレフュス事件におけるそれぞれの「アンガジュマン」を反映するものであることを、私はある程度まで証明できたと思っている。2001年度は、そのような蓄積を踏まえながら、ロラン・タイラード、シャルル・モリス、レミ・ド・グールモン、デカダン派などの書物を求め、またアンドレ・ジッドやシャルル・ペギーなどの雑誌への投稿をコピーした。また、「詩人」の解体と「知識人」の成立はパラレルであることから、歴史学者クリストフ・シャルルの知識人論および大学論を読み、直接彼へのインタヴューも行った。新たに出版されるマラルメに関する研究は随時購入している。サンボリスムの文学史をマラルメとドレフュス事件をキーにして読み直すという作業は、それぞれのサンボリストの「アンガジュマン」を批判的に検討することであり、それはとりもなおさず、大学人としての私の在り方へも跳ね返ってくるものであることを、ARESERという研究会を主宰しているシャルル氏との会話から学んだ。