表題番号:2000B-012
日付:2006/05/08
研究課題心臓外科手術訓練シミュレータ開発のための支援技術の確立
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 理工学部 | 教授 | 梅津 光生 |
(連携研究者) | 理工学術院 | 教授 | 内山 明彦 |
(連携研究者) | 理工学総合研究センター | 客員研究員 | 藤本 哲男 |
- 研究成果概要
- 本研究は、直視下で弁挙動の観察が可能で、血行動態に基づいた手技の有効性を把握することを目指した僧帽弁形成術評価装置を設計・製作し、現在臨床で使用されている各種人工弁輪の特性比較を行なうことを目的とした。本装置を用いて工学的見地から臨床現場に対して手技選択に関して実証的な根拠を提示することが可能になれば、効果的で質の高い患者中心の医療が実現可能になると考えられる。医療現場に近い環境を構築するために心エコー検査データから頻出する僧帽弁閉鎖不全をin vitroで忠実に再現した。弁輪拡大は、ラテックスラバーに縫合したブタ僧帽弁を後尖方向に10mm伸展することで実現し、弁口面積が約41%増加することがみとめられた。この僧帽弁閉鎖モデルに対して、4つの人工弁輪の比較評価試験を行なった。評価項目は、僧帽弁閉鎖不全症の重症診断に用いられる心収縮期における僧帽弁逆流量及び拡張期における有効弁口面積である。すべての人工弁輪において収縮期における逆流の抑止効果及び拡張期において弁口面積が縮小することが確認された。逆流の抑止効果はClassic ringにおいて顕著に観察され、逆流量の比較において37.3%、弁口面積において15.2%の軽減が見られた。逆に、Duran Flexible ringは逆流量において0.3%、弁口面積において3.4%の減少に留まった。以上のごとく本研究において製作された僧帽弁形成術評価試験装置を用いてin vitroにおいて人工弁輪の有効性を改めて証明することが可能となった。