表題番号:2000B-008 日付:2002/05/07
研究課題藩世界の意識と権威-西日本地域の場合-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学部 教授 深谷 克己
研究成果概要
2000-01年度の研究期間であったが、01年度に同課題(藩世界の意識と権威-西日本地域の場合-)で3年間の科学研究費補助金が認められ、それに伴い同年度の特定課題研究助成費が減額された。したがって、当初計画していた01年度の調査活動の大半は科学研究費補助金により実施することになり、特定課題研究助成費による成果は少なくなっている。この点を最初にお断りしておく。さて、両年度の研究成果は、以下のようにまとめることができよう。 1998-1999年度の特定課題研究「中国地方諸藩の比較史的総合研究―岡山藩を中心に―」を発展的に展開し、課題を「藩世界の意識と権威-西日本地域の場合-」とした。研究対象地域を西日本地域に拡大したが、当面は四国・中国地方に重点を置くことにした。以上の設定課題に沿って、研究の基礎となる史料の収集を重点的に行った。2000年度には、8月に愛媛県宇和島市の伊達文化保存会(宇和島伊達家文庫)、高知県高知市の山内家宝物史料館(山内家文書)・県立高知図書館・高知市民図書館(奥宮家文書)で、翌年3月に山口県文書館(毛利家文庫)、下関市立長府博物館・下関文書館で調査、撮影による史料収集を行った。2001年度には、2002年2月に東京の国文学研究資料館史料館(阿波蜂須賀家文書)で、3月に香川県歴史博物館(高松松平家文書)・丸亀市立資料館(京極家関係史料)で、2001年度と同様の調査を行った。以上のように、四国諸藩の藩庁文書・大名家文書を中心に調査した。中国地方諸藩の調査は、これまでに特定課題研究の活動成果が一定程度あること、また2001年度から交付されることになった科学研究費補助金により実施することとしたので、一部の藩の調査にとどまった。これら現地での調査と併行して、津山藩・鳥取藩・萩藩・宇和島藩などについて刊行されている史料集などから必要な史料をコピーした。 研究対象地域を西日本に拡大して考察を進めているが、地域を拡大した分、当初の計画では必ずしも十分に調査を行い得ていない。しかし、宇和島や土佐藩や高松藩などの史料から、藩権力なり領民の活動なりが一藩にとどまることなく、周辺地域、他藩、大坂、江戸などにまで及んでいることをあらためて確認することができた。それらが、西日本という枠組の中でどのような特徴を有しているかということの検討は、さらなる史料調査を行いつつ行っていく必要があると考えている。