表題番号:2000B-007 日付:2007/03/24
研究課題記憶研究用線画データベースの作成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学部 教授 西本 武彦
研究成果概要
 認知心理学の分野で必要とされる記憶実験材料の充実を目的として、2種類の線画図形に関する標準化を試みた。
第1の具象線画の標準化は概念カテゴリー規準表に対応するものであり、自然概念あるいは自然カテゴリーをめぐる意味記憶研究、プライミング研究、リアリティ・モニタリング研究、痴呆患者の命名機能などの研究に使用される。図形材料に関しては基礎資料そのものが少ない上に、命名一致度・熟知度・イメージ一致度・複雑性などの特性を標準化したものは数が限られている。今回は第3次の標準化として、約350枚の線画について命名一致度(不一致度)・命名潜時・獲得年齢の3指標のデータを収集した。さらに、約80枚の線画について描画上の問題点を修正し、第4次標準化の準備を行った。
 第2の無意味線画は通称ドルードル(droodle)と呼ばれるもので、通常の描画ルールでは解釈困難な線画をさしている。もともと、スタンフォード大学のG.H.Bower(1975)の実験で初めて使われたもので、認知処理におけるスキーマや文脈の影響を調べる材料として注目されていた。認知心理学実験用の効果的教材であると同時に、今後、fMRIなどを使った脳賦活領域の観察実験課題としての活用が期待できる。西本・高橋(1996)を基に、さらにそれを拡充したものを今回第1次標準化としてまとめた。
 以上、2つの標準化作業が今回の研究費助成(2000B-007)による具体的成果であり、現時点で以下の学会報告を行った。これらを基に論文作成の準備を進めている。

・宇根・宮脇・上田・高橋・西本 記憶実験用線画刺激の標準化(1) 
2001年11月 日本心理学会第65回大会報告 

・西本・高橋・宮脇・上田・宇根 記憶実験用無意味絵(droodle)の標準化(1) 
2001年11月 日本心理学会第65大会報告

・宮脇・高橋・西本・上田・宇根 記憶実験用線画刺激の標準化(2) 
2002年9月(予定)  日本心理学会第66回大会報告