表題番号:2000A-925
日付:2002/02/25
研究課題成層圏飛翔体を用いた移動体通信における電波伝搬特性の取得に関する研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 国際情報通信研究センター | 助教授 | 嶋本 薫 |
- 研究成果概要
- 成層圏飛翔体や低軌道衛星などを用いた通信システムでは、構造物による反射の影響により電波伝播は到来方向の仰角別に異なる. 本研究では仰角別に異なると考えられるそれら多重伝搬特性を、実測実験に基づいて測定し、更に様々な周波数で測定し、その比較を行った。まず、送受信用アンテナとして2.4GHz,および1.2GHzでの極力指向性特性をもたないループ型のターンスタイルアンテナ、スリーブアンテナ更には折り曲げタイプのスリーブアンテナをを作成し、その性能を実測実験において測定した。その際、市販のモノポールアンテナとの比較を行い、指向性特性や定在波を測定し、定在波では概ね2.0以下であり、アンテナ利得もほぼ所定の値を示すことを確認した。
次にビルの屋上からアンテナを迫り出させて測定実験を行うため、アルミ性ポールにアンテナ所持機構を持たせるためのボックスを作成し、位相差給電機構が問題なく収納でき、かつ強風にも耐えられるよう強固に固定する支持機構を作成した。また、移動車両においては車両の頂上に受信アンテナを設置するための所持機構を作成し振動等にも耐えられる様工夫を行った。測定データはスペクトラムアナライザにGPIBインターフェイスを持たせたノート型パーソナルコンピュータで取得し、ワークステーションでデータの解析を行った。実験結果は仰角が大きくなるにつれ直接波と間接波の比率における直接波の成分が相対的に大きくなることから受信信号レベルの変動幅が小さくなることが定量的に得られた。今後の課題はこれらのデータをまとめて飛翔体通信のシミュレーションを作成し、通信方式提案やその性能評価を行うことである。これらの成果は電子情報通信学会研究会、論文誌等において発表を行う予定である。