表題番号:2000A-903 日付:2004/10/22
研究課題混合媒体を用いた発電システムのサイクル論的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学総合研究センター 専任講師 天野 嘉春
研究成果概要
 独自に考案したアンモニア・水混合媒体を用いるタービンシステムの60KW実験装置を完成した。これを対象に基礎データ取得のための実験検討を行った。
 これにより、これまで一般に用いられてきた水やアンモニアなどの単体媒体を用いるランキンサイクルや、濃度調整機構のない混合媒体サイクルであるローレンツサイクルよりもさらに高効率で動力を回収するカリーナサイクルを基本とした、独自のサイクル形態を有す本システムの有効性を確認した。調整運転を経てシステムの運転操作方法を確立し、設計点より若干低濃度域でのシステムの静的特性データを得た。これにより、システムの起動、停止方法の確立およびそれにかかる時間短縮への指針を明らかにした。このほかにR123/R134aの混合媒体サイクルについてのシステムを対象としたダイナミクスを検討、報告した。
 具体的には、タービンへの媒体ソースとしての蒸発器系サブシステムと、タービン排気側媒体シンクとしての凝縮・再生系サブシステムの二つのサブシステムに注目してそれらの特性評価を行うことで、システムの動力抽出性に関する具体的な効果を明らかにした。すなわち、蒸発器系を特性評価した結果からは、システムへの流入熱源の変化に応じたシステム内のAWM流量制御が動力抽出性に対して支配的であることを明らかにした。また、凝縮・再生器系の機能については、つぎの2点に注目して評価した。すなわち、凝縮機能の回復機構としての循環系の効果と濃度分配機能を大きく左右するセパレータ入口温度の影響度である。これらはどちらもサイクルパターンによって最適な値が存在すること、またその影響度は同程度でシステムの最大定格出力に対して約20%程度であったことを明らかにした。
 これらの結果から、システムを運転制御する上で、これら2つのサブシステムをそれぞれ最適になるよう制御して運転することが動力抽出性から重要であり、それぞれの制御系がほぼ独立して操作可能であることからこのようなシステムの運転制御系の構築指針とその運転指針を明らかにした。
 また、カリーナサイクルと同様な吸収過程を有するアンモニア吸収式冷凍機についても制御性、構成要素の特性評価をまとめ、コンパクト化への指針を示した。