表題番号:2000A-855 日付:2002/02/25
研究課題WMVRハイブリッド吸収冷凍機の最適設計・制御に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 専任講師 齋藤 潔
研究成果概要
 吸収冷凍機はコージェネレーションにおける排熱を駆動熱源として利用することが可能なことから、省エネルギーを実現できる有効な冷凍、空調機器である。排熱駆動吸収冷凍機により排熱の利用が進めば、一次エネルギーの消費に伴うCOの排出量を削減することが可能となり、地球環境保護に対して極めて有効ということができる。ところが吸収冷凍機の駆動源として排熱だけを使用すると、冷房負荷が減少した場合には余剰な排熱が生じたり、排熱量が不足した場合には所定の冷房負荷を満足することができなくなる。このような場合には、全冷房負荷を排熱駆動の冷凍機だけで担うことなく、安定した駆動源で駆動される冷凍機でバックアップしていくことが有効となる。
 そこで、本研究では、圧縮式サイクル(MVRサイクル)と排熱駆動の単効用吸収サイクルを複合することにより一台の冷凍機で排熱と動力を同時に用いて駆動可能なハイブリッド吸収冷凍機を新たに提案する。本冷凍機により排熱の変動に対して動力あるいは電力という安定した駆動源でのバックアップ運転が可能となる。このハイブリッド吸収冷凍機を採用すれば、ガスエンジンヒートポンプの大幅な効率向上、太陽エネルギーあるいはプロセス工場などで発生する排熱の有効利用による省エネルギーを実現することが可能となる。
 本冷凍機を対象に、詳細な特性解析を行い、設計に関する指針を得ることを目的として検討を進めた結果、次のような結論を得た。
 (1)一般的な吸収冷凍機の入力条件で、本冷凍機を設計した結果、排熱側サイクルのCOPはおよそ0.75、MVR側サイクルのCOPはおよそ4.92と極めて高い効率が得られることがわかった。
 (2)MVR再生器内の圧力について検討を行った結果、MVR再生器内の圧力は、圧縮機の容積と吸収溶液の腐食性を考慮すると最適な圧力が存在することがわかった。
 (3)濃度幅の増加により、動作点におけるMVR側、排熱側サイクルそれぞれのCOPは向上するが、MVR再生器出口の吸収溶液の温度が上昇するため腐食の問題を考慮することが必要となることがわかった。