表題番号:2000A-850 日付:2002/02/25
研究課題耐食材料の電気化学的評価に関する予備的調査研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 酒井 潤一
研究成果概要
 Ni-Ti超弾性合金は優れた耐食性、生体適合性を有しており、医療分野でも利用される機会が多くなっている。しかし、生体内環境や、口腔内環境は金属材料にとって苛酷な環境であり、損傷事例も報告されている。歯科矯正用ワイヤーも期待寿命より短期間で破損している。このような現象を例に予備調査を進めた。Ti合金は環境因子の感受性が高いが、口腔内での腐食現象に影響を与える環境因子は十分には解明されていない。環境因子として腐食現象の結果として生体液から発生し、合金内に侵入する水素イオンに着目し、その材質劣化への影響を検討した。Ni-Tiワイヤーに応力負荷条件下で水素イオンを陰極チャージし、材料履歴とチャージ量とを因子として水素脆性感受性を調査した。水素添加定荷重試験において破断までの時間はマルテンサイト変態誘起応力に依存する事が明らかとなった。応力誘起変態後は環境因子の影響を受けやすく材質の劣化が促進される事が考えられる。超弾性特性に着目した材質的変化と環境因子との相関に着目した研究を進める必要があろう。