表題番号:2000A-847
日付:2005/03/27
研究課題自動車保険の変遷と多様化について
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 商学部 | 専任講師 | 李 洪茂 |
- 研究成果概要
- 現在の東京海上火災保険株式会社が、1914年2月14日、その免許を取得したことに始まる日本における自動車保険は、賠償額の4分の3を保険金として支払っていたが、1965年の改定約款によって、賠償額の全額が保険金として支払われることとなる。一方、この賠償額は交通事故による被害者の損害回復のためのものであり、自動車保険が被害者救済の役割をも担うこととなった。
また、1974年3月1日に、対人事故に対する示談交渉サービス付の自家用自動車保険(FAP)が発売され、1982年10月1日には、示談交渉サービスを対物事故にまで拡大した自家用自動車総合保険(SAP)が発売された。これによって、自動車保険は、交通事故によって生じた紛争の解決自体をも給付の内容とするものとなった。
さらに、1998年10月1日に、被害者に対する賠償責任に関係なく、被保険者自身の保険から被害者自身の損害がてん補される人身傷害補償保険が発売された。被保険者の過失に起因する被保険者自身の人身傷害による損害は、被保険者の保険からも相手の保険からもてん補されない既存の自動車保険の限界に対応するためであった。これによって、自動車保険は、被保険者自身の保険から、被保険者自身の損害額が全額てん補されるものに変化した。
しかし、日本の自動車保険市場では、上記の既存の自動車保険が姿を消すことなく、依然として販売されている。その結果、消費者は、多様な自動車保険を自由に選択できるようになったが、適切な商品選択が難しくなる問題点も抱えることとなった。