表題番号:2000A-806
日付:2002/02/25
研究課題自己負罪拒否特権の比較法的考察
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 法学部 | 助手 | 小川 佳樹 |
- 研究成果概要
- 刑事手続における「黙秘権」あるいは「供述拒否権」といったものの保障は各国の法制にみられるところであるが、この点、わが国の憲法38条1項は、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」と規定している。これは、直接的にはアメリカ合衆国憲法修正5条をモデルとし、コモン・ローにその起源をもつ自己負罪拒否の特権(privilege against self-incrimination)に由来するものだと解されており、刑事訴訟法における被疑者・被告人等の権利保障は、これを受けたものとされている。
本年は、この憲法38条1項の保障に関する比較法的研究の一環として、現代アメリカ法における自己負罪拒否特権を客観的に把握するために、その予備的作業として、連邦最高裁判例の展開の起点である19世紀後半までのこの特権の形成過程について分析を試みた。
また、この自己負罪拒否特権と密接に関連し、わが国においても立法論として議論されているアメリカの刑事免責制度について、それがどのように機能しているかを、とくに同国において共犯者等の供述の獲得を可能にするという意味でこれと同様の機能を果たしていると考えられる制度・手法と対比させつつ、検討を行った。