表題番号:2000A-804 日付:2002/02/25
研究課題私的セクターの法形成機能-チャリティ研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 戒能 通厚
研究成果概要
 チャリティは、イギリスにおける公共圏の形成を特色づける。この研究は、そういう関心からヴィクトリア期の二つの「公」の形成と言ってよい「国家」と「私」の「公化」という現象を分析する。教育に典型的に現れるかの「パブリックスクール」とは、何故に「パブリック」であるのかは、「国家的」公の編成過程とも言える地方の「中央権力分岐型」への再編と関連しているのであり、そのいずれもが基本財産に対する「公的管理」の登場を意味した。後者がいかに「国家的公」に対抗しつつ市民社会の側に残るかがイギリスの19世紀「改革」の眼目にある「私の公化」と実にパラレルに問題になってくるのである。そしてそのことが鮮明になるのが、サッチャー政権の時期であった。その「民営化」路線とは新自由主義的市場化のみの問題につきるものではない。ある意味では、国家的公による社会の統合ということであって、当然のことながらヴィクトリア的貴族主義的「公」が消滅していくが、それはヴィクトリア的「公」が否定されていく過程を意味したのである。以上のような研究を現在徐々に理論化し、かつ資料的裏付けを急いでいるところである。