表題番号:2000A-522 日付:2002/03/20
研究課題フレームワークを用いたアプリケーション開発支援環境に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 深澤 良彰
研究成果概要
オブジェクト指向フレームワークはある特定のアプリケーションドメインにおける設計や実装を再利用するためのクラスライブラリである。フレームワークはフレームワークを構成するクラス間に協調関係を持ち、ライブラリ全体でアプリケーションの骨組みを体現する。フレームワークの利用者は、個々のクラスではなくクラスの階層構造全体を再利用し、必要に応じてフレームワークにカスタマイズを行なうことでアプリケーションを構築する。クラス間の関係まで再利用できるため、設計と実装のコストを大幅に削減することが期待でき、また、他のアプリケーションにも用いられるため、高い品質の設計及びコーディングの誤りの低減なども期待できる。
しかし、将来そのアプリケーションドメインにおいて必要とされる機能を予測することは困難であり、ただ一度の設計で必要十分な機能を提供するフレームワークを構築することは非常に難しい。その原因としては、フレームワークの構築の初期においては、ドメイン分析が不十分であったり、アプリケーション開発の経験が不足していることが多くあり、このためにフローズンスポットとホットスポットの適切な分離が困難であることがあげられる。その他に、フレームワークの設計がそのベースに用いた具体的なアプリケーションプログラムに強く依存する事も原因として挙げられる。そのため、フレームワークのライフサイクルにおいて成熟・洗練のプロセスは必須で、成熟・洗練はフレームワークの再構成によって達成される。
未成熟なフレームワークの再構成ではドメイン分析は不十分であるため、クラス間の関係が厳密には定義されていない。そこで、再構成にあたりフレームワークを静的に解析する場合もサンプルの情報を利用する場合にも製作者の意図を補足する情報が必要であると我々は考えている。本稿では、フレームワーク製作者の設計意図を記述する形式的言語を導入し、その記述に基づいて、フレームワークを再構成する手法を提案した。