表題番号:2000A-517 日付:2003/10/14
研究課題白金(Ⅳ)および白金(Ⅲ)単核錯体の合成と反応性の評価
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 石原 浩二
研究成果概要

  白金(IV)錯体の反応性と反応機構を明らかにするために、還元され難い新規白金(IV)単核錯体の合成を試みた。
 (1) [PtMe2(tacn)(H2O)](CF3SO3)2 (tacn = 1,4,7-triazacyclononane) の合成
   還元され難い非ウェルナー型の白金(IV)錯体として、表記の大環状配位子を有するメチル白金(IV)錯体を合成したが、この錯体
  は紫外部に電荷移動吸収帯しか持たず、塩化物イオンや臭化物イオンとの反応においても、より長波長側に新たな吸収帯は現れ
  ず、分光光度法による置換反応の測定は困難であった。また、収率が低いため、NMR法による測定も現段階では難しい。
 (2) [PtMe2(ttcn)(H2O)](CF3SO3)2 (ttcn = 1,4,7-trithiacyclononane) の合成
   (1)で合成した錯体よりも長波長側に吸収帯を有すると考えられる表記の白金(IV)錯体の合成を試みた。現在までのところ、原
  料となる白金(II)錯体[PtMe2(ttcn)]の合成と、目的の[PtMe2(ttcn)(H2O)]2+の溶液中での生成には成功しているが、結晶は得ら
  れていない。現在結晶化を検討している。
 (3) [Pt(terpy)(bpy)]Cl4 (terpy = 2,2ユ:6ユ,2モ-terpyridine, bpy = 2,2ユ-bipyridine) の合成
   還元され難いウェルナー型の白金(IV)錯体として、表記の錯体の合成を試みた。K2[PtIVCl6]とterpyとの反応を様々な合成条件
  および手法により試みたが、白金(IV)の置換不活性さと副反応(白金(II)への還元反応)の進行により、[Pt(terpy)Cl]Clしか得ら
  れていない。現在、bpy存在下で酸化方法を検討している。
 (4) [Pt(peptide)(bpy)Cl]Cl (peptide = alanyl-glycine dianion) の合成
   配位子が電荷を有する白金(IV)錯体として、アミノ酸が配位した白金(IV)錯体の合成を試みた。比較的容易に結晶がえられた。
  現在、この錯体の同定と、アクア化錯体の合成を検討している。