表題番号:2000A-511 日付:2002/05/10
研究課題p進等質空間の球関数と局所密度
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 教授 広中 由美子
研究成果概要
以前,指標和(ガウス和)を用いて合同部分群の作用に関する対称形式の代表系に関する和として局所密度を表示する方法を
立教大学の佐藤文広氏との共同研究で開発している.対称形式の場合に適用し,
合同部分群として,岩堀部分群をとることにより,局所密度の明示式を剰余体標数が奇数の場合に完全に求めた.
今回は,この方法をエルミート形式にも拡張して,やはり,剰余体標数が奇数の場合に,一般に求めた.
分岐拡大から得られるエルミート形式に関しては,初めての明示式である.不分岐拡大の場合には,3通りの明示式が得られたことになる.

二次形式の局所密度に付随する Kitaoka 級数(これは有理関数となる)の分母について,以前の結果を見直し改良した.
表現する行列のサイズが偶数のときは,unimodular行列のときと同様に,以前に比べてほぼ半分の分母となることが分かった.
二次形式の居所密度に関しては,以前、立教大学の佐藤文広氏との共同研究において,ある明示式を与えているが,
それから局所密度相互の関係を読み取ることは困難である.
この Kitaoka 級数に関する結果は,局所密度の明示式が改良されるべきものであることも示唆している.


また,対称空間ではない球等質空間として,Sp_2 x (Sp_1)^2 が作用する空間 Sp_2 を取り上げて研究した.
この空間上の球関数論を構成する端緒として,
この空間のカルタン分解を考察し,球関数の明示式を与えた.