表題番号:2000A-502 日付:2002/04/29
研究課題規制緩和と司法改革-弁護士制度、ADRなど民事司法制度の改革に関する研究-
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 土田 和博
研究成果概要
 研究計画書において予定したように、本研究は総論と各論からなる。総論については、自民党「司法制度改革の基本方針」(1997.11)、「21世紀司法の確かな指針」(98.6)、経団連「司法改革についての意見」(98.5)、21世紀政策研究所「民事司法の活性化に向けて」(98.12)、日弁連「司法改革ビジョン―市民に身近で信頼される司法をめざして―」(98.11)、最高裁判所「21世紀の司法制度を考える」(99.12.8)などを比較検討することによって、「規制緩和的司法改革」、「市民的司法改革」、「官僚的司法システムの維持」の基本的な現状認識の違い、改革の方向、具体的な提言の相違などを確認した。これについては、「成果発表」欄の成果2、3、5などにおいて論述した。
 また、各論については、主として弁護士制度の改革、すなわち、①弁護士の大幅増員、法律業務独占の見直し(弁護士法72条)、②弁護士報酬規程に対する独占禁止法の適用可能性、③弁護士広告制限の緩和の是非、④弁護士の兼職、営業等の制限の廃止・緩和の是非(弁護士法30条)、⑤法律事務所の共同化、総合事務所化の是非などについて検討を行った。具体的な改革は、司法制度改革審議会の最終報告(2001.6.12)等で示されたように、法曹、とりわけ弁護士の人口の大幅増員、隣接法律職(司法書士、弁理士、税理士など)への訴訟代理権や出廷陳述権の付与による弁護士の法律事務独占の侵食、行政改革推進本部・規制改革委員会による弁護士会の会則記載事項から報酬規定を削除するべき旨の提言、日弁連「業務広告規程」の改定、弁護士法人制度の新設などとなって実現しているが、これに対する私の観点からの評価は、「成果発表」欄の成果1、4、6などにおいて述べた。