表題番号:2000A-225 日付:2002/02/25
研究課題オーバースピードトレーニングを手軽に行うことの出来る移動式傾斜走路の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 本庄高等学院 教諭 田邊 潤
研究成果概要
 坂下り走は昔から広く知られている練習であるが、今回は傾斜が終わってから平地にはいった時の勢いを利用したオーバースピード効果をねらいとすることで、傾斜走路全体を短くし、コンパクトにまとめることで新たな運動用具として開発することを目標とした。研究開始当初は傾斜走路の素材を何にするかで相当迷った。コンクリート施行では移動できないしお金がかかる。木材では疾走事に走路が弾んでしまい走り方が変わってしまう。鉄板では重すぎて移動できない。発砲素材は軽くて弾まないが、加工が難しい。等々、半年ほど素材の選択に悩みぬいた。そして最終的に出した結論は幅10CMの鉄骨のC型鋼材を組み合わせて作る方法である。この方法で1.5%勾配と3%勾配が連続する24mの走路を完成させた。走路の上には市販されているゴム板を敷くことにより移動可能で角度も変化させられる人工的な傾斜走路を制作できた。
 短距離走は冬季にあまりスピードを上げられないために2001年3月にはいって本格的な実験に入っている。傾斜走路を12m利用しての加速走では平地での20m加速並みのスピードが出ており、18mの利用では全力疾走を3~5%上回るオーバースピードトレーニングが可能となっている。今後この走路を利用し実験を繰り返しながらその成果を8月の日本スプリント学会で発表する予定である。
 移動式傾斜走路は角度を調整できる上、組みたても簡単なので、跳躍競技にも利用可能な点においては過去に例のないものである。この走路の研究は陸上競技のみでなく疾走スピードが必要な多くのスポーツ種目のトレーニングに対しても大きな影響を持つものになることを確信している。