表題番号:2000A-224 日付:2002/02/25
研究課題ネットワークを活用した英語表現力養成指導に関する基礎研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 本庄高等学院 教諭 高山 正弘
研究成果概要
 ネットワークコンピュータを使った英語表現力養成に関する基礎研究の一つとして、まずコンピュータライティングによるライティング作品の量と質に関するquantitativeな面からの研究を行った。コンピュータを使ったライティングであれば、コンピュータの特性を活かした文章の推敲が容易、且つすばやく行える。このことにより、手書の場合に比べて、より分量のある、長い英文を書くことが可能となる。では、トピック展開や英文表現といったライティングの質(quality)はどうか。一定時間内に、量的に多い、より長い英文が書ける生徒は、そうでない生徒に比べて、英文の質の面においても優れるといえるか。こうした、英文の量と質の関係について実際のところどうであるか、実験データをもとに統計分析を行いその結果、「一定時間内において、生徒の書く英文の量(語数)と英文の質(内容)には強い正の相関関係がある」ことが検証された。
 また、効果的なコンピュータライティングの指導について、どのようなシラバスデザインが望ましいかということにおいては「英文ライティング作品の発信を意図したネートワークコンピュータ活用型シラバスデザイン」が一つの形として考えられる。ネットワークコンピュータを使えば、より学習者が英文作成のプロセスに意識を向けることにつながるであろうし、そうした授業展開であれば、いわゆる「学習者中心」(learner-centered)であり、「タスク中心」(task-based)の学習形態を定着させることにつながる。何よりも、英文推敲の観点に立ったときに、ネットワークコンピュータを使えば,学習者は自らのライティング作品の迅速な評価を基に繰り返し見直しが短時間に労少なく行なえるわけで、一連の作品の推敲・校正を含めたライティングの全過程作業が、確実に手書きの場合よりも効率的に行なえる。また、学習者の動機付けの観点からも、コンピュータライティングは学習者の情意因子にプラスに作用すればポジティブな態度を生むことにつながり、好ましい学習活動の成果をもたらす本来的な動機の喚起が期待できる。更に、ネットワークコンピュータを使った海外の学校とのEメール交信は、アンケートの結果にも見られるように、他者とのコミュニケーションを刺激するという動機付けの面でも、マイナス面よりもプラス面の効果が多いことが検証された。