表題番号:2000A-202 日付:2005/11/21
研究課題高齢者のライフスタイルの向上が個人の健康および医療に及ぼす影響
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 教授 町田 和彦
研究成果概要
 予防より治療を重視した従来の健康保健制度や老人医療無料化制度のもとで、欧米では考えられないほど安易に医療機関を利用する習慣が形成された結果3分診療や病院の老人ホーム化が促進されたばかりでなく、近年の経済不振の中各種健康保健財政は莫大な赤字をかかへ、更なる医療費の個人負担の増加が検討されようとしている。しかも今後日本は今まで類を見ないほどの急速な高齢社会を迎えることが予想され、従来の医療に対する考えを抜本的に変えないと国民の負担はますます増すばかりになる。それを打開するためには国民一人一人が自分の健康に対する意識改革をし、予防医学的側面からより積極的な健康の維持と増進を図ることが要求される。われわれは平成10年度より埼玉県名栗村にて予防医学を中心に据えた健康増進運動を行ってきており、今年度で3年目を迎えた。今年度も昨年同様7月後半に質問紙(問診、既往歴、ライフスタイル、日常生活動作、QOL、モラールなど)、機能検査(各種運動能力テスト、血圧、肺機能、骨密度など)、健康診断(各種尿検査、臨床生化学検査、血液学検査など)、生態防御機能検査(好中球機能検査、NK活性、フローサイトメトリーによる各種リンパ球検査など)からなる検診を実施した。参加者は70名と少なかったが、以下のような結果を得た。各種ライフスタイルの中でストレスは特に大きな影響を与えQOL、生活満足度、ADL、健康状態などに大きな影響を与えていることが認められた。しかし、BMI、握力、各種臨床検査値とストレスとの関係は見出されなかった。また高齢者の自立度と健康関連指標との関係では自立度の高い人は握力や反射神経に優れ、栄養状態も良好な傾向がうかがわれた。フローサイトメトリーにより測定した各種免疫細胞(CD4,CD8,NK,NKTなど)と質問紙法との関係では男性のNKT細胞とストレスとの間で有意に高い相関が認められた以外は関係は見られなかった。