表題番号:2000A-184 日付:2002/02/25
研究課題昭和金融恐慌および昭和恐慌期の経済政策思想に関する一考察
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学部 教授 東條 隆進
研究成果概要
 昭和恐慌とは何か。その原因は何であり、当時この現象がどのように理解され、どのような対策がなされたか。経済政策思想はどのように形成されていったか。本論は当時の経済政策担当者質の政策思想を明らかにしたいという目的から出発している。
 日本の産業化は1885頃から本格化していき、第一次世界大戦期に飛躍的に発展した。そして1920年代、昭和金融恐慌、1930年代に昭和恐慌に陥った。一般に「戦間期」として規定されているこの時期、シュンペーターの理論によれば、1890年代から開始した第三コンドラチェフ波動期の第三コンドラチェフ波動期に属している。
 第一次世界大戦で離脱した国際金本位制をどのように戦後回復するかという事が世界の共通の政策になった。しかしケインズは金本位制への復帰に疑問をもち、イギリスも国民経済路線と帝国開発路線我中心となったいった。このような状況下で日本の政策思想は国際金本位体制への復帰のみを考えて経済政策を実行しようとした。そしてその政策が破綻していったのが昭和恐慌であった。(早稲田大学社会科学総合研究、2巻1号 2001,7月25日)