表題番号:2000A-162 日付:2002/02/25
研究課題ホームページにおけるVRML(仮想現実設計言語)を利用したまちづくり研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助手 高口 洋人
研究成果概要
 VRML(Virtual Reality Modeling Language)は、3次元空間をWebブラウザー内でシミュレートする技術であるが、インターネットなどのネットワークを用いて、不特定多数に3次元空間をモニター上で再現することが可能であることから、街並みや建物などのシミュレーション結果を広く住民などに体験させる技術として注目を集めている。
 本研究では、富山県富山市の中心市街地に位置する太田口通り商店街の再生をテーマとしたまちづくりにおいて、このVRML技術がどのように活用可能であるかを検討した。具体的作業として、VRMLを用い、太田口通り1丁目をWeb上に再現することからはじめ、協力商店においては、この再現された空間から各商店のWebサイトへのハイパーリンクを行った。これらの作業結果は、太田口通り商店街に設置したまちづくり拠点「ギャラリー太田口」にパソコンを設置、広く来訪者に体験してもらうと共に、意見を求めた。
 体験者の多くが、VRMLに感心するというよりは3次元空間のシミュレーションに感心していた。実際に自宅などでネットワークを介しての体験ではないため、博物館などに設置されている端末と同一視されたようである。しかし、街並みのシミュレーションがWeb上で閲覧できることに対しては、概ね好意的であった。
 VRMLの現時点での問題点である、処理速度については、体験中でも問題となり、精緻な街並みを再現した場合にはまだ実用段階にないとの意見も聞かれた。いわゆるWeb上でのショッピングモールなどでVRMLを利用する場合、形状を単純化したり、ライブラリ的なパーツを用いることにより、処理速度を克服しているが、多様な街並みの場合は、これらのパーツの組み合わせを用いることができず、処理速度が大きな問題となった。
 この処理速度を克服する街並みライブラリーの充実が今後の課題であるが、Web上での3次元空間シミューレート技術はいくつかの有力技術が標準を目指して競い合う過渡期にあり、今後の技術の発展によっては、まちづくりにおいて重要な合意形成ツールとなる可能性があると考えられる。