表題番号:2000A-145 日付:2002/02/25
研究課題鋼とコンクリートの特性を考慮した複合構造物の接合部に関する新しい設計法の提案
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 依田 照彦
研究成果概要
 従来、土木構造物は鋼構造物であるとかコンクリート構造物であるとか対象構造物を限定して設計・施工されてきた経緯がある。しかしながら、土木技術の進歩に伴い、鋼とコンクリートの特性を十分に考慮した経済性と安全性に富む複合構造物が現れてきた。一般に、複合構造物は合成構造物と混合構造物とに大別されており、合成構造物は断面レベルで異種材料が組み合わさっているものを、混合構造物は部材レベルで異種材料が組み合わさっているものを指している。土木構造物の将来あるべき姿を考えるとき、複合構造物の重要性はますます増加するものと考えられる。前述のように大きな期待の集まっている複合構造物ではあるが、異種材料間の力を円滑に伝達することはそれほど容易ではなく、接合部の構造には最大限の注意を払わなければならない。構造形式とのバランスを考えて、接合構造を工夫する必要が生じる。このため、接合構造では、適切な剛性、十分なじん性、必要な強度が性能として要求される。最近では、施工の省力化と経済性に配慮した新しい接合構造も技術開発の目標の一つとなっている。本研究では、接合部の構造を考えるにあたって、構造物の形態、使用する材料、複合構造の程度、力学的特性など総合的な観点から検討することとした。
 そこで、本年度は、複合構造物の設計法で問題となる箇所は接合部であるとの現状認識に立ち、鋼とコンクリートの特性を生かした接合構造の開発とその設計法の構築を目標に研究を実施した。その結果、複合構造物の接合部の設計法について国内外の文献調査の結果をまとめることができ、それらをもとに新しい接合構造である孔あき鋼板ジベルに関して実験および理論の両面から検討を行い、具体的な設計法を提案することができた。本研究で提案したジベルの設計法は、若干改良の余地が残されていると思われるが、これについては今後の課題としたい。