表題番号:2000A-143 日付:2002/02/25
研究課題フレキシブルマニピュレータの軌道・形状・制御パラメータの同時最適化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 山川 宏
研究成果概要
 ロボットマニピュレータは、駆動エネルギの低減や宇宙空間における利用のため軽量化が強く望まれている一方で、その操作性や精度の向上が望まれる。一般に、軽量化されたロボットアームは低剛性となり、いわゆる柔軟構造物となる。このような柔軟構造物の操作性を向上させるため、構造系の設計、軌道の設計および制御系の設計を行う必要があり、構造系の設計と制御系の設計が複合した設計となる。技術分野が複合している場合には、これらの設計目標を高度に達成するために別々に検討して設計するよりも複合して設計することが必要とされる。
 本研究では、軽量化され低剛性となるロボットアーム、すなわち、フレキシブルロボットアームを対象として、その形状及び制御パラメータの設計を行うと同時に、その制御性すなわち軌道設計及び軌道制御を実現することを目的とする。そのため、まず、剛体ロボットアームに適用されている理論を拡張して、フレキシブルロボットアームの構造解析法、動特性算出法、軌道制御法を検討した。さらに、複数の設計目標が存在する場合において多目的最適化手法を活用し軌道・形状・制御パラメータの同時に決定する手法を提案し、軌道上に障害物が存在し、それらを回避し所定の位置にロボットアームの先端部を位置させることを想定した計算例及び実験により検討を加えた。構造部のみの設計結果や構造部と制御部を同時に設計した結果を検討し、制御部を含めて設計を行う場合に設計指標が向上することが認められた。特に、制御エネルギを低減させることは工場の生産ラインで消費する電力の低減に大きく貢献し、本研究のように複数のパラメータを同時に最適化設計することにより、使用エネルギ、軌道追随性が向上することが認められ、本研究の有効性が示された。