表題番号:2000A-138 日付:2002/02/25
研究課題エンジンの複数滑り軸受の連成潤滑特性に関する理論的・実験的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 林 洋次
研究成果概要
 本研究は、過酷で複雑な運転状態下におけるエンジンの複数の滑り軸受の互いに連成した潤滑メカニズムを理論的および実験的に解明するために、ピストン、ピストンピン、コネクティングロッド、クランクシャフトの常微分運動方程式を導出し、かつこれらの要素を連結する滑り軸受の油膜に対する複数の偏微分潤滑方程式を油膜破断を考慮した解析手法を考案して、連立常微分偏微分方程式を初期値境界値問題として理論解析を行い、変動最小油膜厚さや最大油膜圧力などを求め、実験結果と比較検討して、エンジンの滑り軸受の解析的取扱いを確立して、エンジンの開発設計指針を得るものである。得られた成果を以下に示す。
(1)理論的研究では、運動する軸受と回転軸とのすきま内の油膜に対して固定座標系のナビアストークスの方程式から薄膜の仮定を用いて、単気筒エンジンのピストンのピンボス軸受、コネクティングロッド小端部軸受と大端部軸受およびクランクシャフト主軸受に対する潤滑方程式をそれぞれ導出し、固定座標系を各滑り軸受の軸受と軸との偏心量および偏心角に変換し多元連立常微分偏微分方程式を誘導した。数値解析では、燃焼ガス爆発圧力の変動荷重下では各滑り軸受すきま内の油膜は刻々と油膜破断領域が変化することを考慮した。得られた変動最小油膜厚さや最大油膜圧力を検討して、エンジンの滑り軸受の連成理論の解析取扱いを確立した。
(2)実験的研究では、コネクティング大端部軸受を取り上げた。大端部軸受を電磁加振機によって軸受を加振し、4リンク機構と回転モータを組み合わせることによって軸を誘導運動しながら回転運動させコンピュータ制御によって同期をとるモデル試験機を開発試作し、油膜圧力を計測した。