表題番号:2000A-134 日付:2002/05/08
研究課題変分的アプローチによる非線型微分方程式の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 田中 和永
研究成果概要
変分的手法により空間非一様性をもつ楕円型方程式 -\Delta u = f(x,u) の解の存在問題を研究し, 特異摂動問題において進歩を見ることができた.

方程式が空間変数 x に依存する場合, 解のプロファイルは依存しないときと比べると非常に複雑となる. 例えば空間次元が 1 の場合, 方程式が x に依存しなければ, すべての解は空間周期的となり, 比較的簡単な解構造をもつ. しかし方程式が x に依存すると, たとえ 1 次元であっても複雑なプロファイルをもつ解が現れることが一般に期待される.

このような解の存在のメカニズムを理解することを目標とし, 本年は特異摂動の設定の下で研究を行い, 相転移問題に関連する状況において, 空間次元が 1 の時, 界面を伴う解の変分的構成を行った. このような問題の解は無限次元の関数空間上定義された氾関数の critical point を求める問題として定式化される. 従来 Lianupov-Schmidt 法等により有限次元空間上定義された氾関数に対する問題に帰着され研究されてきたが, ここではより直接的な有限次元への帰着法を見いだすことにより, 1 点に集中する多重界面をもつ解等の存在を非常に広いクラスの方程式に対して示すことができた.

ここで用いられている方法は 1 次元非線型 Sch\"odinger 方程式 -\epsilon^2\Delta u +V(x)u =u^p にも適用でき, ポテンシャル V(x) が極小値をとる x において集中する sign-changing bump をもつ解を構成できる (del Pino 氏, Felmer 氏との共同研究, preprint).2000A-134