表題番号:2000A-125 日付:2003/03/01
研究課題超臨界条件下におけるアルカリ長石と塩化物水溶液間のアルカリ元素の分配に関する実験
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 内田 悦生
研究成果概要
 鉱物と超臨界熱水溶液間における多元素同時分配実験として今までに鉱物としてカンラン石、イルメナイト、磁鉄鉱を用いて実験を行なってきたが、その一環として今回はアルカリ長石を用いて同様な実験を行なった。対象とした鉱物はカリ長石であり、溶液には1mol/lのLiCl、NaCl、RbClおよびCsCl水溶液の混合溶液を用いた。
カリ長石10~30mgに対して20~40μlの反応溶液を金チューブに封入して、コールド・シール型の高圧反応容器を用いてイオン交換反応を行なった。実験圧力は1kbとし、実験温度は500~800℃と変化させた。実験終了後、固相と液相を分離し、固相はフッ酸と硝酸を用いて溶解した後、液相とともに原子吸光分析装置を用いてアルカリ元素の分析を行なった。また、粉末X線解析装置を用いて生成鉱物の同定を行なった。
 実験結果から分配係数を求めた後、イオン半径との関係を示したPC-IR(Partition Coefficient vs. Ionic Radius)図を作成し、考察を行なった。PC-IR曲線はRb付近に極大値を持ち、LiとNaとの間に極小値を持つ曲線を示し、Rbが最も適したイオン半径を持つことが明らかとなった。また、分配係数は温度とともにその対数値が0に近づく傾向を示し、温度の上昇に伴いアルカリイオンに対する選択性が小さくなることを示している。なお、Liイオンの挙動に関しては、今のところ満足な理由を与えることは出来ていない。
 今後はこのような傾向がKをNaに置き換えた曹長石においても成り立つかどうか調べるために実験を継続していく予定である。