表題番号:2000A-118 日付:2003/05/01
研究課題オンラインの日本語辞書構築のための補文内の構造と時制を中心にした動詞の補語の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 助教授 益子 真由美
研究成果概要
 本研究の当初の目的は、担当者が参加している科研費基盤研究で構築される予定であったオンライン日本語辞書の語彙項目の充実化をはかるために、補文内の動詞の構造および意味的役割を分析することであった。残念ながら、科研費基盤研究が遅々として進まなかったため、日本語と英語を比較するという形で動詞の自他の交替や、そこに関わる意味的な要素を割り出すことに専念することとなった。
 時間的な制約もあり、あまり多くのデータの入力・分析は出来なかったが、動詞の統語的行動に(広い意味での)意味的な要素が大きく影響を及ぼしていることは明らかに出来たと思われる。英語を主に研究対象とする研究者達と海外の学会で意見を交換することにより、これは日本語のみでなく英語でも同じであることも分かった。今後その他の言語に関するデータを分析することにより、全ての言語に当てはまる普遍的な現象であるかどうか、検討したい。
 他の研究者と意見が一致したのは、言語現象は文1つといったデータでは説明の出来ないものであり、より多く且つ非言語的な情報も含めた文脈の中で考察する必要があるという点である。意味的な情報は特に話者や聞き手やそれらの人々が置かれている状況といった計量化や形式化が困難であるものを無視しては解明出来ないので、今後は如何に形式化に近づけていくかが課題として残された。