表題番号:2000A-117 日付:2005/03/24
研究課題中級学習者を対象としたドイツ語読解能力育成の技法に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 助教授 原口 厚
研究成果概要
 読解にあたって、様々な背景的知識・スキーマを活性化し、コンテクストに基づく推論の積極的活用によって語意味やテクスト内容の理解を追及するという方法が正当かつ有効であることに疑念の余地はない。しかし、限られた授業時間内でできる限り多くのテクストを読み、能率的に読解能力を形成するためには、これと同時に、他方で言語的知識・能力の拡大強化に努める必要があることもまた確かである。問題はこの二つの方向性を授業においていかに統合して実施するかであり、本課題ではその一つの具体的方策について研究を行った。
 出発点としたのは、特定領域・問題に関するテクストは背景的知識・スキーマのみならず、言語的にも重なりが大きいことから、背景的知識・スキーマ、推論等を活用し易く、読み慣れることが容易であるという一般的経験知である。しかし、実際に授業を設計するにあたっては、S.D.Krashenも<>として提唱するこうした考え方のみではまだ余りに漠然としており、不十分である。そこでより能率的、効果的な読解能力の育成を目標として次のような形でその精密化と具体化を図った。
①学習者に読ませたい比較的長く、高難度のテクストを<目標テクスト>として設定する
②<目標テクスト>と内容的、言語的に一定の共通性と関連性を有し、<目標テクスト>の理解に資する比較的短く、低難度のテクストを<支援テクスト>として選定する
③<目標テクスト>の理解に向けて<支援テクスト>を漸進的、効果的に配列した教材とこれに基づく授業展開を設計する
 以上に基づき、ドイツの人口動態に関する二つのテクストを<目標テクスト>とし、主として日本の人口動態に関する十二のテクストを<支援テクスト>として配置、運用する教材・授業モデルを作成し、<読解能力育成と教材の配列について>との標題のもとに口頭発表を行った。