表題番号:2000A-098 日付:2002/02/25
研究課題女性表現の〈戦後〉-女歌における母性の表象をめぐって
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 助教授 金井 景子
研究成果概要
 2000年度の特定課題研究助成費を受けて、以下のことに着手した。
① 戦後の女歌を、評論の視座から眺め返してみるために、『女人芸術』終刊号の「女性短歌関係年表」を基にしながら、女歌に言及した評論を網羅的に収集・分析した。
ことに、新憲法のもとで、女歌に詠み込まれた「母性」についての捉え方にどのような変化があったかについて、重点的に調査・分析を行った。そこで、昭和20年代後半の五島美代子への評価と中城ふみ子への評価がこの問題を考察する際の重要ポイントであることを確認し、同時代の女性をめぐる言説-新聞・雑誌メディア-と相互関連させて論じる準備を整えた。
② 戦後の女歌のなかでも、ジェンダー/セクシュアリティの双方から考えてエポック・メイキングな位置を占める、中城ふみ子の『乳房喪失』を論じる準備として、資料が集中する帯広市立図書館を訪問し(2001年3月21~23日)、資料の収集にあたった。資料が膨大なため、2001年夏にもまた、同図書館を訪問する予定である。
③ 北海道在住の中城ふみ子研究家でもある佐々木啓子氏(先行文献を収集した『中城ふみ子研究資料集』あり)とも連絡をとりあって、〈母性〉をキー・コンセプトに提携して研究を進めることとなった。
④ 調査・考察の結果は斎藤美奈子編『近代文学と読者(仮題)』(岩波書店、2002年前半刊行予定)に執筆の予定である。