表題番号:2000A-092 日付:2002/02/25
研究課題緑色硫黄細菌反応中心とこれにつながる電子伝達系
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育 教授 桜井 英博
研究成果概要
 緑色硫黄細菌Chlorobium tepidumから4種のフェレドキシン(FdA-D)を精製した。これらのFdの吸収スペクトルは、いずれも4Fe-4S型の特徴を示し、385nmおよび280nmに吸収の極大を、305nmに肩を持っていた。同じ細菌から精製した反応中心粒子およびホウレンソウFNRの存在下で、これらのFdは高いNADP+還元活性を示し、それぞれのKmおよびVmaxを決定した。精製したFdのN末端アミノ酸配列分析から、FdCとFdDのものは同じで、合計3種の配列が得られた。この細菌からは3つのFd遺伝子の存在が示されており、ここに得られた3種のN末端アミノ酸配列はこれらに対応している。FdCとFdDがクロマトグラフィー的に異なる挙動を示す理由は、今のところ不明である。これまで緑色硫黄細菌のFdは極めて酸素感受性が高く、空気中では短時間のうちに失活すると報告されていたが、今回われわれが精製したChlorobium tepidumのFdは酸素に対して比較的抵抗性で、気相を空気、4℃で保存したとき6日間で10-15%しか失活しなかった。
 反応中心は電子受容体側に3種のFe-Sクラスターを結合している。これらのFe-Sクラスターの還元型それぞれと酸化型初発電子供与体P840+の間の電荷再結合速度を閃光分光法により測定した。
 Heliobacillus mobilisから2種の4Fe-4S型Fdを部分精製した。このうちの1つは極めて酸素感受性が高かったが、他はそれほど感受性が高くなかった。