表題番号:2000A-089 日付:2002/02/25
研究課題ドストエフスキイの作品におけるゴシックの構造
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 教授 川崎 浹
研究成果概要
 課題としてのゴシック研究を大きく前進させることができた。その第一はゴシック研究に表現される崇高の概念と、ゴシック小説で語られる恐怖の概念が、どの時代にどんな様式で、いかなる人物を通して樹立され、また、さらに二つの要素がどのように融合されたかという点である。「融合」の結晶作用を解明できたことが今期最大の成果だった。
 第二は二つの概念をドストエフスキイの創作に適用することで、ドストエフスキイの創造過程における未開拓の研究分野に光を当て得たことである。(一例、『虐げられた人々』の占める位置:主人公たちの精神構造:文体:様式など。)
 具体的には、雑誌「図書」(岩波書店)に掲載された拙文「ゴシック宇宙とドストエフスキイ」で展開されている。研究の骨子を雑誌「文学」に載せ、2001年4月までにさらに1冊の本として上梓する予定だった。
 ところが2000年度は遠隔テレビ講義「ヨーロッパ文学」担当のため、準備と講義録ホームページ作成に時間を費し、余裕が無くなったので、代わりに、平行して進めた研究成果を講義とホームページに盛り込んだ。講義録の内、VOL. 3「ゴシック建築の精神」、VOL 4「リバイバルゴシック」、或いはドストエフスキイ、またその他(「20世紀を代表する彫刻家ジャコメッティ」)で、成果を活用することができた。サイトはhttp://faculty.web.waseda.ac.jp/kawasaki/index.htm早稲田大学教員ホームページ、人文系。
 特定課題研究の「ゴシック宇宙とドストエフスキイ」は続けて考察を行ない、近い将来に出版する予定である。