表題番号:2000A-069 日付:2003/05/09
研究課題近世フランスのジャーナリズム形成と「新聞の社会史」研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学部 教授 森原 隆
研究成果概要
 上記のテーマについて、とくに近世期におけるフランス及び他の西洋諸国の新聞・雑誌とジャーナリズムに関する史料調査と史料収集を重ねて行った。外国のものとしては、フランス国立図書館、古文書館などの諸図書館、文書館所蔵の定期刊行物関連の史料を、マイクロ・フィルム、マイクロ・フィシュ、コピーなどの購入を通じて収集した。個別的には、国立図書館の定期刊行物部門やマザラン図書館、またフランス外務省の文書館の『ガゼット』や外国紙関連の手稿史料について、未入手の文献の包括的な収集に努めた。このために設備備品費を充当した。また、わが国の諸大学・諸研究機関に散在する史料の調査と収集を行った。このため、近畿圏の諸大学、東京圏の諸大学等で史料調査をし、全国的な所蔵状況を把握し、必要箇所のコピーなど文献収集に努めた。たとえば、同志社大学所蔵の定期刊行物、京大経済学部の上野文庫、都立大、専修大の革命史コレクション、などでの調査をあらためて実施した。旅費の多くをこれに充当した。さらに、上記の研究課題に関わる近年の研究書、著作を同時に収集し、近世・近代フランスのジャーナリズムとそれをめぐる諸問題について、研究動向または研究ノートの執筆を進めている。
 また、「書物・新聞の社会史」や「世論」、「政治的公共性」に関する研究動向について、西洋史学のみならず社会学、政治学、文学、美学などの分野における近年の研究状況の把握に努めた。2000年度西洋史読書会大会(11月3日、於:京大会館)において、「アンシャン・レジーム下の新聞とジャーナリズム―ルイ16世即位以後の動向について―」というテーマで研究発表を行い、1770年代、1780年代のフランス社会の分析を試みた。これによってフランス革命前夜における、いわゆる官製ジャーナリズムの状況が明らかになり、革命へと連なるジャーナリズム発展の分析に一つの展望が開かれた。