表題番号:2000A-065 日付:2002/02/25
研究課題古代エジプト新王国第18王朝時代前期のネクロポリス・テーベの岩窟墓の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学部 助教授 近藤 二郎
研究成果概要
 エジプト新王国時代の墓域研究の上において上エジプト第4ノモスに位置するテーベは重要な位置を占めている。特に、新王国第18王朝時代から19王朝時代にかけての時期の岩窟墓が多数存在している。これまで、これら岩窟墓の時期を決定することは非常に不充分な状態であったと言える。昨年度は、特にネクロポリス・テーベにおける岩窟墓の再利用の問題について主として研究を実施した。岩窟墓の再利用といっても、様々な例があることを明らかにし、その中で新王国時代における再利用の例を具体的なケースを取り上げ検証した。
 2000年度は、ネクロポリス・テーベの岩窟墓群の基礎的なデータ・ベースの作成が急務であるとの認識に立脚し、ネクロポリス・テーベに関するデータ・ベースをネット上での公開を視野に入れた作成作業を開始した。
 特に2000年度には、新王国第18王朝時代前期の岩窟墓を中心として取上げ、ネクロポリス・テーベにおける位置をプロットしながら、ネクロポリスの新王国時代における展開について研究を行った。主として岩窟墓の被葬者の称号・家族関係、葬送用コーンの有無等を手がかりとして編年学的研究を実施していった。また岩窟墓内部の壁画や碑文についても集成し、再利用の具体的な証拠が存在しているかどうかも、細部に至るまで詳細に検討した。
 その結果、第18王朝時代前期の岩窟墓の中で、ハトシェプスト女王時代以前の墓について、墓の平面プランや壁画の特徴などをまとめることができた。今後は、第18王朝時代中・後期をまとめることにより、アマルナ時代以前の岩窟墓の集成を実施することが課題である。