表題番号:2000A-058 日付:2013/04/28
研究課題ヨハネス・タウラーの神秘思想研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学部 教授 田島 照久
研究成果概要
 ヨハネス・タウラーの神秘思想を理解する上でこれまでなされてきたヨーロッパにおける研究は、アウグスチヌスやトマスそして師のエックハルトといったローマン・カトリックの思想系譜からの解明であった。しかしそもそも神秘思想の核となる「合一思想」の源泉は4世紀のニカイア公会議の論争となったイエス・キリスト理解にまで遡る。すなわち「人間神化(テオーシス)」の問題である。今研究ではタウラーの合一思想が初期ギリシア教父たちのテオーシス思想に直接つらなる思想系譜であることを、タウラーの説教の分析、解釈から明らかにできたと考える。
 又同じドイツ・ミュスティクの系譜でありながら、師マイスター・エックハルトとは異質の言語によるタウラーの合一思想を「痛み」、「渇き」といった感覚言語に焦点を定めて解明を行った。
 さらに年来進めていたタウラーの説教の翻訳もその実質的作業を完了する事ができた。