表題番号:2000A-030 日付:2002/02/25
研究課題国際的犯罪捜査の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 田口 守一
研究成果概要
 組織犯罪に対する捜査方法について、1999年にいわゆる「組織的犯罪対策関連3法」が成立したが、今日さらに、「国際組織犯罪条約」の批准が問題となっている。このような組織犯罪対策関係の新たな刑事法問題の中で、とりわけ国際犯罪捜査が大きな問題となっている。これまで、組織犯罪対策の捜査方法としていわゆる「通信傍受法」が大きな関心を呼んできたが、一方において、インターネットなどの通信手段の発達は、ネット上における越境現象を普通のこととし、犯罪行為(違法な情報の伝達)が国境を越えて行われることも普通のこととなっている。いわゆる「サイバー・テロ」という危惧も示されている。そこで、従来、犯罪捜査は国境内と考えられてきたことから、国境を越えた犯罪捜査が可能かどうかが問題となる。他方において、とくに日本は周囲を海に囲まれており、ヨーロッパのような陸の国境を持たないことから、国境を越えた犯罪捜査はあまり現実問題とは考えられてこなかった。しかし、とくに海外からの覚せい剤の密輸や不法入国といった事案が増加し、これに伴って海上捜査の事案も増加している。そうなると、海上における国境を越える犯罪捜査も問題となり、ヨーロッパにおけるような議論も必要となってきている。以上から、別紙のような研究論文を執筆したが、問題が大きいので、さらに研究を継続していきたいと考えている。