表題番号:2000A-025 日付:2002/02/25
研究課題19世紀国際慣習法の現代国際法への影響に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 島田 征夫
研究成果概要
 19世紀国際慣習法に関連する研究論文や資料は、わが国では必ずしも多いとは言えないため、外国の関係文献を収集することにつとめた。文献と資料は、慣習法、条約、自然法などに関わる英独仏の論文を中心に集めた。その範囲は国際法のみにとどまらず、政治、経済、文化、社会の分野などに及ぶことになった。
 これらと平行して行った実際的活動として、「国際法理論史研究会」(代表・柳原正治九州大学教授)への参加がある(研究会は2000年度3回、3月、7月、12月に東京と福岡とで交互に開催され、15名ほどの国際法学者が参加した)。この研究会は、現在Triepel, "Völkerecht und Landesrecht"の購読を行っているが、広範な情報交換の場であると同時に、報告者を中心に詳細な報告と活発な討論が毎回行なわれるため、伝統的国際法の理解のため絶好の機会であり、得るところもきわめて大である。
 このようにして得られた国際慣習法の特徴が、現代の国際法においてどのように跡づけられるかがこの研究の主題である。現在抱いているテーマとしては、19世紀に慣習法として確立したと思われる、外交的保護権や無害通航権の成立の過程を追うとともに、その後慣習法がどのように変遷して、現代国際法として生き続けているのかを明らかにしようとする。たとえば、なぜ現在も依然として慣習法のままなのか、なぜ法典化されたのか、などを探りたいと思う。
 現在、これらの論点を含めて、伝統的な慣習法の現代における意義に関する研究を構想中であり、なるべく早い時期に原稿化するつもりである。