表題番号:2000A-022 日付:2002/02/25
研究課題新しい商品取引所法のもとにおける「取引所」の意義と機能についての研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 尾崎 安央
研究成果概要
 本年度の研究課題は、商品取引所や証券取引所を含む「取引所」という機構の法的意義・機能等に関する本報告者の数年来の研究の一環をなすものである。すなわち、2000年度の研究対象として具体的には、商品先物取引所である「商品取引所」を取り上げることとし、もっぱらその法的問題点等を抽出し、解決・検討すべき課題の所在を確認することに集中したのが今回の研究助成対象の研究である。本年度はまた、アメリカ合衆国においても先物取引法制をめぐる大改革(CFTCの再授権など)が連邦議会で審議される時期に当たっており、研究当初必ずしも明確に意識してはいなかったが、それらの審議状況等をインターネット等を通じてフォローし、本年度の研究テーマとのかかわりがあるとりわけ「取引所」あるいは「契約市場(contract market)」に関する法的問題点等にも検討を加えることとした。それらの研究の成果として、商品や証券市場とりわけ先物市場をめぐる議論はネットワークを使用した取引やネットワークを利用したサイバー市場などの登場もあり、全く新たな段階を迎えていることが確認でき、また「取引所」をめぐる問題点だけに限ってみても予想通りに多くの研究テーマが山積していることが知られた。そのような研究課題のうち、いわゆる「クリアリング」機構の充実等は、わが国でも東京工業品取引所等において真剣な議論がなされているように、取引所の国際化にとってはいわば喫急の課題となっており、実務的な観点をも加味してさらに詳細な検討を加える必要性が感じられた。本年度の研究は、そのような課題の所在を確認するだけでも有意義なものであったと考えるが、その成果の一部は、前年度までの研究成果とあわせて別紙記載の通り既に公表した。次年度以降においても引続き、本年度の研究において確認された各種問題点・課題を個々にかつ詳細に検討していくことにしたいと考えているが、当面は「クリアリング」をめぐる問題点の解明に努める予定にしている。