表題番号:1999C-014 日付:2002/02/25
研究課題汪兆銘政権下の日中関係
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学部 助教授 劉 傑
(連携研究者) 社会科学部 教授 島 善高
(連携研究者) 教育学部 教授 小林 敦子
(連携研究者) 法学部 教授 竹中 憲一
(連携研究者) 復旦大学歴史系 教授 石 源華
(連携研究者) 復旦大学歴史系 教授 曹 振威
(連携研究者) 復旦大学歴史系 教授 張 雲
(連携研究者) 復旦大学歴史系 教授 劉 其奎
(連携研究者) 復旦大学歴史系 教授 余 子道
研究成果概要
 本国際共同研究を開始した直接の理由は、「汪兆銘政権下の日中関係」という研究テーマは、日本の占領地政策や、戦時下の外交問題、さらには20世紀の日中関係の特徴を究明するのに不可欠な要素であるにもかかわらず、史料の不足などの理由で、その研究が今だ大きな成果をあげていないからである。そこで本研究は、まず史料の蒐集と整理という基礎作業から着手した。中国側研究者は中国各地の档案館に所蔵されている史料を広く集め、史料集の編集作業を進めてきた。史料集は汪兆銘政権の政治、外交、経済、教育、社会、文化などの諸分野にわたる大規模のもので、近く中国で出版される見通しとなった。一方、日本側の共同研究者は日本の史料館などに所蔵されている関係史料を集め、これに中国側の史料を取捨選択して、史料集の出版を準備している。
 共同研究期間中、中国側の共同研究者が早稲田大学を訪問し、本学の共同研究者と意見交換を重ね、史料の分析、選定などを行った。また、日本側の共同研究者も中国を訪問し、史料の調査や意見交換を実施した。現在、日本と中国でほぼ同時に出版する史料集の編集と翻訳作業に入り、出版に向けての具体的な作業を進めている。
 また、史料集の編集作業を進めると同時に、研究論文の執筆を行ってきた。研究代表者の劉傑は、研究論文の一部を加筆して『漢奸裁判』と題する著書を出版している(中央公論新社)。その他の研究者も論文を完成して、論文集の出版に向けて、文章の調整や翻訳作業に入っている。
 史料集と論文集の出版に合わせて、早稲田大学の施設を利用した国際シンポジウムも予定している。当初は2002年の開催を目指していたが、史料集と論文集の出版が少し遅くなることに合わせて、2003年の開催に変更して準備を進めることにしている。
 本格的な研究が存在しないこのテーマに関係する史料集と論文集の出版は、日中関係史研究に発展に大きく寄与することになろう。また、シンポジウムの開催は、早稲田大学と復旦大学との学術交流をいっそう促進するとともに、第一次史料に基づいた日中関係史の共同研究の方向性を示すものとして、意義のあるものと確信している。