表題番号:1999C-009 日付:2002/02/25
研究課題都市内における商業地区の再生と都市形態の変容に関する日韓の比較研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 中川 義英
(連携研究者) 理工学部 教授 浅野 光行
(連携研究者) 理工学部 教授 佐藤 滋
(連携研究者) 韓国東亜大学校 副教授 尹 時雲
(連携研究者) 韓国東義大学校 助教授 金 興官
(連携研究者) 韓国東義大学校 専任講師 尹 祥福
研究成果概要
 これまで21世紀における望ましい地方都市づくりを目指し、①面整備の展開と都市形成、②中心市街地の活性化方策、③エコポリス(自律的発展都市・地域)研究を進めてきた。昨今では、日本の地方都市が抱える問題としては②の中心市街地の活性化がとりわけ重要な課題である。すなわち、空洞化に対処したまちづくりが地域にとっての最大の課題であり、大規模小売店舗立地法(以下、大店立地法)、中心市街地活性化法、及び、改正都市計画法の「街づくり3法」を柱とした街づくりの推進が求められている。一方の韓国でも、中心市街地の空洞化の現状や問題点を数多く抱えているものの、地方自治体レベルでは市街地を活性化させようとする動きがあるだけで、これに関連する法律や具体的な活性化法案については設けられていないという現状があった。そのため、表題の研究を行うこととなった。
 初年度は日韓の地方都市の基礎調査を行った。日本の都市としては、栃木県宇都宮市、福井県福井市、大阪府堺市、愛媛県新居浜市、長崎県長崎市、そして熊本県熊本市の6都市を調査対象とした。韓国の都市としては、釜山、大丘、大田、光州、そして仁川の5都市を調査対象とした。調査項目としては人口等の基礎データと売場面積、商店数、従業員数、販売額等の商業統計データを取り上げ、全市に対して中心市街地のシェアがどのように変化しているかを追いかけた。その結果、日本においても韓国においても中心市街地のシェアは年々小さくなっていることが明らかとなった。その理由として両国とも、老朽化した建物等の混在や道路の未整備等、都市構造に問題があるということを明らかにすることができた。
 第2年度は初年度の結果を踏まえて、各都市の中心市街地において、どのような整備・事業が行われてきたかについて調査を行った。日本においては、事業に一貫性があるとは言い難く、どちらかというと、補助金対策のための事業も存在し、それが用途の混在化を招き、結果として中心市街地の空洞化が進んだことが分かった。一方の韓国では、土地価格が高価で事業性が不足して事業推進の主体がいないことや区域面積が狭く、また、昔から住んでいる住民等が撤去しないことが中心市街地の衰退の原因であることが分かった。