表題番号:1999C-007 日付:2004/01/28
研究課題ディジタル技術革新による放送・情報通信の融合に関する日・英・独の学際的共同研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 教授 中村 清
(連携研究者) 政治経済学部 教授 縣 公一郎
(連携研究者) アジア太平洋研究センター 教授 岩村 充
(連携研究者) 理工学総合研究センター 教授 浦野 義頼
(連携研究者) 理工学総合研究センター 教授 田中 良明
(連携研究者) 国際情報通信研究センター 教授 三友 仁志
(連携研究者) 慶応義塾大学 教授 菅谷 実
(連携研究者) 岐阜経済大学 専任講師 浅井 澄子
(連携研究者) オックスフォード大学 教授 ジョージ・ヤロー
(連携研究者) ブルンネル大学 教授 マーチン・ケイブ
(連携研究者) ロンドン・ビジネス・スクール 教授 レオン・ウェーバーマン
(連携研究者) マンハイム大学 専任講師 ペーター・アイヒホルン
(連携研究者) ミュンヘン工科大学 教授 アーノルド・ピコ
(連携研究者) ミュンヘン工科大学 教授 J・エバーシュペヒャー
研究成果概要
 平成11年より始められた「通信と放送の融合に関する政策」に関する研究は、平成12年度をもって研究の第一段階を終了する。本研究は、ディジタル技術による市場の融合とそれに対する公共政策のあり方について国際的な視点から研究することを目的としてきた。1対1の情報交換を基本とする情報通信部門と1対Nというマスを対象とする放送部門は、ディジタル技術革新と双方向性によって急速に融合しつつある。こうした通信と放送のディジタル融合は様々な市場融合を引き起こし、新しいビジネスを誕生させ、その経済的・社会的な影響力は日々高まっている。従って、こうした融合市場をいかに健全に育成するかは日本経済の将来にとって重要な政策課題となっている。こうした問題意識の下に、平成11年度には、日本、英国、ドイツの共同研究者による「通信と放送の融合に関する公共政策」に関する中間研究発表会を開催した。ディジタル融合の中で各国が現実にどのような構造変化に直面し、またいかにして問題を克服しようとしているかについて研究成果を交換した。そこで得られた研究成果を踏まえて、その深化を図るために、平成12年度にはドイツ・ボンにおいてワークショップを開催した。特に欧州各国と日本におけるディジタル融合に対する競争政策や法制度の整備の方向性について意見を交換した。英国とドイツは通信と放送の融合という技術進歩の中で、欧州統合のための競争政策と国内政策との調整という困難な課題に直面している。2000年7月のEC委員会による通信と放送の融合に関するパッケージ案は、欧州経済の活性化と競争力の向上のためにディジタル融合の促進と通信・放送部門における競争政策への転換を促している。その壮大な社会的実験は一国内の利害調整に追われる日本にとっても多くの教訓を含んでいる。2年間の研究成果は著書『Convergence of Telecommunications and Broadcasting in Japan, United Kingdom and Germany』として英国のCurzon Press (2001年5月) として出版された。