表題番号:1999B-024
日付:2002/02/25
研究課題都市高齢者におけるライフスタイルの自己決定の現状と課題
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 人間科学部 | 教授 | 宮内 孝知 |
(連携研究者) | 人間科学部 | 教授 | 濱口 晴彦 |
(連携研究者) | 人間科学部 | 教授 | 嵯峨座 晴夫 |
(連携研究者) | 人間科学部 | 教授 | 店田 廣文 |
(連携研究者) | 人間科学部 | 助教授 | 臼井 恒夫 |
(連携研究者) | 人間総合研究センター | 助手 | 空閑 厚樹 |
- 研究成果概要
- 本課題は主として都市部における高齢者介護をめぐって、介護する当事者たちの間で、どのような決定がおこなわれているかを主テーマとしており、「生活満足度」の測定といった従来的なアプローチにとどまることなく、介護環境をめぐる現状での矛盾やコンフリクトを抽出することに主要な関心を置いた。そのためグループインタビューを実施し、そこでインフォーマント同士の語りの中で用いられるロジックの分析に焦点を当てることで当事者の介護観や介護をめぐる家族内部での決定プロセスや役割に焦点を当て、介護をめぐるさまざまな問題状況に関して、そこに介在する「自己決定」の条件およびその現状を把握することを試みた。またマクロなレベルでは、主として「介護保険」を中心に行政の福祉施策に対する介護者側の対応や現状における問題点、およびそれに対する多様なニーズの把握につとめ、その延長から介護の在り方に対する「将来像」の抽出を試みている。
インタビュー対象者は、早稲田大学人間総合研究センターが月一回開催している『生活の質』土曜講座の参加者の中から60歳以上の男女を抽出、それを対象者とし、計6回グループインタビューを行った。対象者は、1996年から1999年(4月20日 第130回~10月16日 第179回)までの講座に参加した者(総数461人)にアンケートを送付、うち260通返信のあったものの中から介護に関心が「ある」と回答した50代から70代の男女37人(男性17:女性20)である。
なお、本研究は問題探索型の立場を採っており、サンプルの代表性にかならずしもこだわることなく、介護をめぐって提起される具体的な状況を当事者へのインタビューから把握することによって様々な問題を発見することを目的としている。よって、この研究の主眼は、自明な指標を用い、既に問題の構造が固定されている「生活満足度」の測定のみでは解明されない不可視の問題を可視化することにある。また、これらインタビューがおこなわれた時期は介護保険導入時期(2000年4月)と重なっており、それをめぐる前後の貴重なドキュメントとしての資料的価値も有している。現時点での研究成果は、このインタビューのテープおこしをしたものを基礎資料集として発刊するに止まっているが、今後この基礎資料を基とした分析・考察を論文、図書出版、学会報告などを通して発表していく予定である。