表題番号:1999B-019 日付:2002/02/25
研究課題首都圏計画の意義と事後評価
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 中川 義英
(連携研究者) 理工学部 教授 浅野 光行
(連携研究者) 理工学部 教授 佐藤 滋
研究成果概要
 本研究は首都圏を対象に1958年から概ね10年おきに策定されている「首都圏整備計画」について、現在までの五次にわたる計画の事後評価を行い、今後の首都圏整備計画のあり方について検討することを目的に進め、主として以下の4つの研究を行ってきた。
 (1)首都圏整備に関する文献をデータベースとしてまとめた。首都圏整備委員会が出版した「首都圏整備」から骨格報告の原案をとらえ、また一連の文献の著者の肩書きから首都圏整備計画に対する人的分布の変容を把握した。一方所轄官庁の変更による計画の性質の変化、基本計画・整備計画・事業計画の間における比重の違い等を認識し、最終的に広域圏計画が市町村計画に反映されなかったことの問題点を抽出した。
 (2)近郊地帯を廃止するに至った過程を土地利用の変遷、当時の住民意識、法律的背景から土地利用変化に関わる要因を特定した。背景には法整備の不備や農地を巡る社会情勢の変化があり、本来人口の受け皿として設定した市街地開発区域の開発が進まず、逆に既成市街地に集中してしまった構造を商業、工業面から把握した。また建ぺい率、容積率や1968年以降の用途地域指定もその後の開発に関連がある可能性も見出した。
 (3)第四次首都圏整備計画で指定された業務核都市の成長が進まない要因として都市の内部構造に着目し、システム・ダイナミックス(SD)によりモデル構築を行い業務核都市育成の指針を考察した。そこでコントロールトータルを支配する要因として自治体財政の変化を挙げ、現状のままでは成長が収縮する予想を得た。
 (4)交通容量を考慮した都心における容積率の設定を踏まえなければならないことや、土地利用変化と市街化の圧力の関係を首都圏整備計画及び上位計画などとの関連より把握し、緑地減少に至った要因、そしてこれらを考慮して土地利用に着目し交通インフラとのバランスから土地利用計画の今後の展開を行った。また今後の首都圏の望ましい総合都市交通のあり方について、いくつかの代替案、政策項目の取り組みの有無による場合等の提示による住民参加の方向性を示した。