表題番号:1999A-890 日付:2002/02/25
研究課題中高年者の身体活動・運動への参加,継続を強化する要因の検討―行動変容のトランスセオレティカルモデルの適用―
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 助手 岡 浩一朗
研究成果概要
 本研究は、中高年者の身体活動・運動への参加、継続 (アドヒレンス) に関わる要因を、行動変容のトランスセオレティカル・モデル (TTM) に基づいて検討した。また、これら基礎研究の知見に基づいて、行動変容のTTMに基づく身体活動介入を行う際に利用するための印刷教材「今のあなたに合った身体活動や運動は?」の作成を試みた。以上の研究成果は、次の3つにまとめられる。
 ①行動変容のTTMの構成要素を測定するための尺度の構成:行動変容のTTMを構成する5つの概念 (運動行動変容の段階、運動行動変容の過程、運動セルフ・エフィカシー、運動意思決定のバランス (運動の恩恵・負担の知覚)、運動ソーシャル・サポート) を測定するための尺度を作成した。各尺度に関して、信頼性および妥当性が確認された。
 ②行動変容のTTMに基づく中高年者の身体活動・運動へのアドヒレンスに関わる要因の検討:横断的、縦断的な調査から、運動行動変容の5つの段階 (無関心期、関心期、準備期、実行期、維持期) に属する人によって、運動行動変容の過程、運動セルフ・エフィカシー、運動意思決定のバランス (運動の恩恵・負担の知覚)、運動ソーシャル・サポートに対する評価が異なることが明らかになった。これらの結果は、運動行動変容の各段階ごとに関わる要因が異なり、各段階に応じた運動アドヒレンス強化のための介入を行うことが重要であることを示している。すなわち、無関心期に属する人には、運動の負担感を軽減すること、関心期の人には運動の恩恵に対する知覚を強化することが重要である。また、準備期ではセルフ・エフィカシーを強化するような介入、実行期、維持期に属する人には逆戻りを予防するような行動的スキルを習得させる介入が有効である可能性が示唆された。
 ③行動変容のTTMに基づく身体活動介入に利用する印刷媒体の作成:以上の基礎研究の知見に基づいて、運動行動変容の段階に応じた介入を行う際に利用する印刷教材「今のあなたに合った身体活動や運動は?」の作成を試みた。