表題番号:1999A-855 日付:2004/05/18
研究課題建材からの化学物質放散に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 田辺 新一
研究成果概要
 住宅が高気密化すると共に、新建材の使用に伴い、化学物質による室内汚染が問題となっている。汚染化学物質の室内気中濃度は、換気及び建材・施工材からの放散量によって左右される。従って室内化学物質汚染対策には、適切な換気を行うとともに建材・施工材からの汚染物質放散量を低減する必要がある。本研究では建材・施工材からの化学物質放散速度を測定する小型チャンバーに関する文献研究を行い、著者らが開発した小型チャンバーを用いて、いくつかの建材の測定を行った。小型チャンバー法に関する基礎文献調査では、材料からの化学物質放散量測定には、素材測定法、デシケータ法、チャンバー法、現場実測法などがあることがわかった。素材測定法では、空気中への放散量が直接測定できないこと、デシケータ法ではホルムアルデヒドの加水分解、加法則、長時間経過後の定常性などに疑問があること、実物大の大型チャンバーによる測定はコストがかかることから、小型チャンバー法が実用的には良いと考えられた。また、関連するASTM、ECA(ヨーロッパ共同研究)規格、北欧規格、EU-EN、ISO-146規格に関して調査研究を行った。チャンバー法には、大きく区分して小型2種と大型の計3種の測定法がある。試験体表面に設置するタイプの小型チャンバー(小型チャンバー法)、内部に試験体を入れるタイプ(セル方チャンバー法)があることがわかった。しかし、外国の試験チャンバー規格は性能しか定めておらず、小型チャンバーに関しては、具体的形状が示されていないことなどがわかった。加えて、ホルムアルデヒドに代表されるアルデヒド類測定に関して、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いての測定のプログラムを示した。内部材料設置型の小型チャンバーにより建材からのアルデヒド類放散速度を測定し、室内環境に与える影響に関して検討した。