表題番号:1999A-854 日付:2003/02/25
研究課題インターネット上のマルチメディア通信に向けた帯域制御技術に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 甲藤 二郎
研究成果概要
 インターネットではネットワークのふくそうが発生し、パケットの転送が遅れたり、パケット廃棄が発生することは避けられない。これはリアルタイム指向のマルチメディア通信では大きな品質劣化の原因となる。そこで、本研究では、これらの影響を回避・低減し、インターネット上で効率的なマルチメディア通信を実現するための帯域制御技術、ふくそう制御技術について検討を行った。
従来方式としては、パケット廃棄が起きてから転送レートを下げる方式、ラウンドトリップ遅延を測定しながら許容値を超えたらレートを下げる方式、などが知られている。しかし、前者はレートの変動が激しすぎて品質が安定せず、後者はラウンドトリップの許容値を自動的に算出できないために任意のネットワークに適用できない、という問題があった。
本研究では、特に後者の問題を解決するために、ラウンドトリップ遅延を判断基準として用いながら動的に転送レートを更新する、任意のネットワークに自由に適用できるアルゴリズムを検討した。具体的には、二通りの方法を検討した。第一の方式では、ネットワーク全体をバッファとみなし、その容量を計測可能なラウンドトリップ遅延と受信レートから動的に更新し、それに従って転送レートを制御する。第二の方式では、ラウンドトリップ遅延を継続的に測定し、それから求まる平均ラウンドトリップ遅延が一定の範囲に収まるように、転送レートをフィードバック制御する。さらに、これらについて実際にインターネット上における転送実験を行い、それぞれの方式の有効性を確認した。