表題番号:1999A-820 日付:2002/02/25
研究課題近世・近代フランスのジャーナリズムに関する社会文化史的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学部 助教授 森原 隆
研究成果概要
 近世・近代フランスの新聞・雑誌などの定期刊行物について、史料調査を行なった。フランスの国立図書館、古文書館などの諸図書館、文書館所蔵の定期刊行物関連の史料を、マイクロ・フィルム、マイクロ・フィシュ、コピーなどの購入を通じて収集に努めた。とくに国立図書館の定期刊行物部門やマザラン図書館、またフランス外務省の図書資料室の『ガゼット』や外国紙関連の手稿史料について、必要箇所などの包括的な文献収集に努めた。このために設備備品費を充当した。さらに、わが国の諸大学・諸研究機関に散在する史料の調査と収集を行なった。このため、近畿圏の諸大学、東京圏の諸大学、名古屋大学、等で史料調査をし、全国的な所蔵状況を把握し、必要箇所の文献収集に努めた。たとえば、同志社大学所蔵の『メルキュール』、京大経済学部の上野文庫、都立大、専修大の革命史コレクション、名古屋大法学部の定期刊行物コレクションなどの調査を実施した。旅費の多くをこれに充当した。さらに、上記の研究課題に関わる膨大な研究書、著作を同時に収集し、近世・近代フランスのジャーナリズムとそれをめぐる諸問題について研究動向または研究ノートの執筆を試みている。
 論文「絶対王政下の新聞と政治報道」、服部春彦、谷川稔編『フランス史からの問い』所収、山川出版社、2000年3月刊、を執筆し、近世フランス絶対王政下における世論やジャーナリズムと政治との関係を論じた。とくに1770年代のモープーの時代に政治新聞・雑誌の世界に大きな変化があったことを強調し、革命前のフランス社会に世論やジャーナリズムなどの政治文化が大きな役割を担うようになっていた経緯を、手稿史料などをもとに実証的に解明した。これを踏まえ、この時期の各新聞の記事内容に関する、さらに詳細な分析と検討に現在取りかかっている。