表題番号:1999A-580 日付:2002/02/25
研究課題中枢神経系による生殖制御とその性分化におけるセロトニンニューロンの役割
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 教授 山内 兄人
研究成果概要
 セロトニン神経系は排卵から性行動にいたるあらゆる生殖機能に影響をもつ。本研究ではセロトニン神経細胞を豊富に含む背側縫線核がラットにおける排卵にどのよう役割をもつか、また雌特有の性行動であるロードーシス制御においてエストロゲンとどのような関係にあるか明らかにした。
 1.背側縫線核の排卵制御における役割:排卵前日に背側縫線核を破壊したり、セロトニン受容体の拮抗在や作動剤を投与して排卵に対する影響を見た。その結果、背側縫線核を排卵前日の午前中に高周波破壊すると排卵が阻害され、排卵に必用なLHのサージの消失が見られた。また、セロトニンの2A/2C受容体の拮抗であるmianserinを投与しても排卵の抑制が見られた。背側縫線核を排卵前日の午前中に破壊しても、夕刻にセロトニンの2A/2C受容体の作動剤であるDOIを投与すると排卵が回復することも示された。これらの結果から背側縫線核は雌ラットにおける自然排卵制御に不可欠であり、2A/2Cセロトニン受容体を介してその機能を果たしていることが明らかになった(Neurosci. Res. 35, 291-298, 1999)。
 2.ロードーシス制御における背側縫線核に対するエストロゲンの影響:背側縫線核はロードーシスの発現に抑制的に働いていることが明らかになっている。また、中隔においても強力な抑制作用がみられることが知られている。雌ラットの背側縫線核か中隔にガイドチューブを移植し、エストロゲンを詰めたチューブを一定時間挿入して、雌の性行動の発現を調べた。その結果、中隔にエストロゲンを入れるとロードーシスの促進が見られたが、背側縫線核に入れても影響はなかった。この結果から、中隔のロードーシス抑制力はエストロゲンで直接解除されるが、背側縫線核の抑制力は直接解除されないことが明らかとなった。したがって、背側縫線核の抑制力のはエストロゲンによって間接的に解除されるか、性ホルモン以外のファクターにより影響を受けるものと考えられる(Neuroendocrinology, 69, 446-452, 1999)。