表題番号:1999A-576 日付:2002/02/25
研究課題活動的なライフスタイルを目指した健康教育カウンセリング・システムの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 教授 竹中 晃二
研究成果概要
 本研究は、中高年者を対象に健康エクササイズ・プログラムを実施し、プログラム終了時点に得るであろう生理諸機能の改善のみならず、プログラム終了後も続く参加者の日常生活における身体活動量、すなわちライフスタイル活動におけるアドヒアレンスを強化することを目的とした。作成したプログラムは、2週間に1回、計8回のセッションから成り、それぞれのセッションでは種類の異なる運動とその後の健康カウンセリング(個人面接、小講議、グループワーク)を行った。わずか8回しかないセッションは、単なる身体活動実施の場だけでなく、参加者のライフスタイル改善に寄与する教育援助的な役割を担い、具体的には、身体運動やスポーツといった特別な活動ではなく、庭いじりや散歩、さらにエスカレータなどを使用しないで階段を積極的に昇るなど、参加者の日常生活における身体活動量の増強を最終目標としていた。運動は、参加者各自に適合するものを実感してもらうために、種類の異なる運動内容が用意され、健康カウンセリングでは日常生活の見直しと変容のための個人別目標が設定された。これら運動および健康カウンセリングでは、専門の運動指導スタッフ、保健婦、栄養士および行動科学の専門家がそれぞれの役割を担当し、その内容には行動科学モデルの一つであるセルフエフィカシー理論を採用した。すなわち、参加者の行動変容を意図したセルフエフィカシーを高める工夫(遂行行動の達成、代理的体験、言語的説得、および生理的および情動的喚起)や継続性および自己制御が可能なように配慮されたセルフモニタリングの技法が使用された。その結果、参加者の体重、中性脂肪、HDLコレステロール、動脈硬化指数についても時間経過とともに改善を示した。参加者の体重は、プログラム終了時に減少し、フォローアップ時にも維持されたのに対して、中性脂肪では時間の経過と共に、またHDLコレステロールおよび動脈硬化指数では、フォローアップ時になってから変化を見せた。これらの結果は、このプログラムの目的であった日常生活の身体活動量増強が時間とともに効力を発揮した成果と思われる。