表題番号:1999A-568
日付:2010/03/06
研究課題マルチメディアによる人文科学研究・教育のパラダイムシフトの日米比較研究
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 社会学部 | 教授 | 有馬 哲夫 |
- 研究成果概要
- 「マルチメディアがもたらす文学・文化研究のパラダイムシフト」(平成9年―10年度文部省科学研究費補助金<萌芽的研究>)研究成果を踏まえ、早稲田大学特定課題研究助成費(平成11年度―12年度)を受けて「マルチメディアによる人文科学・教育のパラダイムシフト」の研究に取り組んだ。調査対象と方法は次の通りである。
調査対象 『コンテキスチュアルメディア』(一九九三年マサチューセッツ工科大学出版)にコンピューターを用いた人文科学研究の論文を発表した米・加の研究者(八名)と「人文科学とコンピュータ」(平成8-10年文部省科学研究費補助金<重点領域>)で研究助成を受けた研究者(八名)。
方法 調査対象に電子メールと面接調査によって、1)どのような研究・教育を行っているか、2)それが以前とはどのように変ったか、3)コンピューター、ないしはデジタル機器に対する観念が変ったか、ということを質問した。
結果 1)の質問からコンピュータ、とくにインターネットを研究・教育に活用するようになったことがわかった。とくに、以前は文字テキスト中心だったものがグラフィックなものを多様するようになった。とくに研究発表や授業で「パワーポイント」などのプレゼンテーション用のソフトが使われるようになったことが大きい。
2)では、前回の調査のときよりも、コンピュータを使うことによって研究の 枠組みそのものが変ったと考える研究者が増えたことがわかった。とくに、以前はコンピュータは、それまでしていたことを早く、便利にできるようにしただけだと思っている研究者が、コンピュータによって研究対象、方法、発表の仕方が変った、つまり研究の枠組みが変ったと見方を変えるようになった。
3)の質問からは、これまでの研究者が、コンピュータを記録装置、データ処理装置、ワードプロセッサーと考えていたのが、メディア、つまりコミュニケーションの道具としての位置付けが強くなった。これは、前回の調査以降、インターネットの普及が進み、かつその使用も試用のレベルではなく実用のレベルに向かったためと見られる。